生産者紹介-農業組合法人【土実樹】

生産者紹介-農業組合法人【土実樹】

選りすぐり、受け継がれてきたおいしさ

 「現在の五ヶ所みかんのおいしさがあるのは、100年かけてつなげてきた先輩たちの努力の賜物なんです」と話すのは、南伊勢町五ヶ所地区で三代続くみかん農家の溝口安幸さん。この地区でみかん栽培が始まったのは大正時代の初め頃。今でもその頃に植えられた、幹周りが80cmほどにもなる八朔の大木が残っています。

 南伊勢町が認定する南伊勢ブランドのひとつ「五ヶ所みかん」は、マルチシート栽培で育てられた糖度13度以上の甘い温州みかん。溝口さんの畑でも多く栽培されています。 「中でもおいしいのは樹上で越冬完熟させた小振りサイズのもの」  甘いみかんは鳥も好物。つつかれないようひとつひとつ丁寧に袋掛けされた実は、1月下旬には最高糖度に達し、味ののりも申し分ない。溝口さんの自信作です。

 「今では10種類を越えるみかんを栽培していますが、昔ながらの五ヶ所らしい味というと、温州みかんの宮川早生(みやがわわせ)という品種ですね。福岡県で誕生し、100年程前にこの地区でも栽培が始まりました。みかんの木は接ぎ木で増やすため、同じ木が育つんです。良い木を選りすぐり、長い年月をかけて増やしてきました。農家の先輩たちの地道な努力が、今の五ヶ所みかんのおいしさにつながっているんですよ」

この土地の風土を活かす

 草生栽培(そうせいさいばい)とは、果樹園に下草を生やす園地管理法で、除草剤や農薬の使用を減らすことができます。一般的にはナギナタガヤというイネ科の草の種を園地全体に撒き、他の雑草の生育を抑える方法が多い中、溝口さんは自然に生えてくる雑草に注目します。

 「草はその土地に必要だから生えてくる。虫たちにとってもいろんな草が生えていた方が棲みやすいのではないか。益虫も多く集まってくる。草はやがて枯れて土に戻り、必要な栄養となる。健康なみかん畑づくりとは、その土地の生物の多様性を維持することなのではないか、という考えにいきつきました」

 南伊勢町は、水はけのよい地質で冬も温暖、日当たりもよく、みかんの栽培に適した土地です。気候風土を活かし、生態系のバランスを維持するために、溝口さんの畑では、農薬や化学肥料の使用は最低限に抑えています。法人名の「土実樹(つみき)」には、「土=風土、実=風土で育った旬の作物、樹=風土に住むいのち。南伊勢町の風土の中で、人も風土と一体になって、いのちの実りを得ていこう」という思いが込められています。

地域とともに

 日本の地方が抱える人口減少や過疎化は南伊勢町も然り。みかん農家の後継者不足が意識されだした約20年前、溝口さんは仲間の農家とともに農事組合法人の設立に動き出しました。昔ながらの段々畑は作業が大変なため若い人がやりたがらない。そこで、荒れ地を耕し平畑を開墾。道路が整備され、その地区の活用につながりました。また、直売所を設け、生果だけでなくジュースやアイスクリームなどの加工や販売もスタート。全体で20~30名の雇用が生まれました。

 「みかんの木は、20年を目安に改植しています。木が高くなると、女性や高齢のスタッフが登って作業しにくくなるのと、今の消費者のニーズにあった品種に植え替えるためです」  ひと昔前までは、温州みかん、いよかん、八朔、甘夏くらいのものでしたが、この20年で新しい品種がぐっと増えたそう。

 「植え替えてから収穫までには3~5年かかる。どの品種が伸びるかは、勘とある意味賭けですね」と溝口さんは笑います。

 「楽しいのは、納得のいくみかんができた時。それをお客さんがおいしいと言ってくれるとうれしいですね。一番大変なのは農薬散布かな。夏の暑い時期だし、最低限といえどできればやりたくないもの。気持ちの上でもつらいですね。小さな実を間引く摘果という作業も夏場は35度以上の中行います。マルチシートを畑に敷き詰めるのも大変。白い色で日光を反射するので目を守るためサングラスは必需品。暑さも半端ない。11月、12月は収穫と販売が重なり大忙し。収穫を手伝ってくれる熟練のおばあちゃんたちは、おしゃべりしながらも手がとても早いと若い子たちがびっくりします」

 昨年(平成29年)、土実樹さんの取り組みが、農林水産省が認定する「ディスカバー農林漁村の宝」の優良事例に選定されました。

   

 「この20年間やってきたことが認められたんだと、とてもうれしかったですね。これからもこの地域とともに歩んでいきたいと思います」




【土実樹の商品はこちら→】

top